風が吹いている限りエネルギーを自給できる「ヨット型ドローン」の開発奮闘記です

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ヨット型ドローン開発奮闘記

浮体式水平横軸風車の期待メリットを7つ紹介します

水平横軸風車実施例の絵

風力発電の教科書に記載されている風車のタイプを回転軸で分類するとおよそ以下の2つです。
(1)水平軸風車
(2)垂直軸風車
ここに第3の回転軸として、水平横軸風車を考えたので紹介します!

1.考えたきっかけ

風が吹かないと回らない風車をどうにかしたいとOKYAを始めました。まず最初に考えたのが、風車が移動できるようにして風の吹いている場所に移動させよう、というものでした。浮体上にセイルと風車を搭載し無人自律移動を前提に、気象情報とAIを組み合わせて良好な風況が見込める海域を移動し続けるというものです。

これはこれで引き続き開発に取り組んでいこうとしていますが、ひとつ課題が顕在化しました。風などで水面の波やうねりで浮体が揺れると風車自体も揺れてしまうことです。風車が揺れると発電効率が低下したり、風車やタワーの故障リスクが増加したりしてしまいます。一般的によく見られる水平軸タイプの大型風車は、揺れないよう頑丈に、また風圧を考慮した設計がされています。垂直軸タイプの風車も傾いてしまうのは良くないですね。

困ったな、と思ったときにふと思いついたのが、垂直軸タイプの風車の回転軸を水平に倒す、というアイデアです。水平は水平でも、風軸と風向を交差させます。水車の構造がイメージしやすいと思います。
何かがきっかけで思いついた、というよりは、日に日に頭の中にイメージが塗り重ねられるようにくっきりしてきたという印象です。

既存の水平軸、垂直軸と、これから述べる水平横軸風車の構造の違いは表1の通りです。

表1

2.水平横軸風車の期待メリットとは

では水平横軸風車の期待メリットです。

(1)風向と風車の回転軸の角度が安定する

一般的な水平軸風車や垂直軸風車は浮体ベースが揺れると風向と風車の回転軸の角度が変わります。風車回転軸やタワーへの負荷が増大し故障リスクが増します。基本的に陸上に設置されている風車構造物は振れることはないですし、浮体式風力発電設備も風浪を受けても振れないように考慮されています。浮体式風力発電設備に関する特許出願内容を見ても、振れを抑えるような内容が見られました。

図1 水平軸、垂直軸風車のベースが揺れた場合

対して水平横軸風車は浮体 が揺れても風車の回転軸と風向との角度は変わりません。

図2 水平横軸風車のベースが揺れた場合

図2では、水面の動揺は風波と同じ向きで発生する場合として示してあります。
それ以外でも、水面の動揺が風向と直行する向きで生じたとしても、風車の回転軸は風向を軸にして回転する向きの揺れであるだけであり、やはり風車の回転軸と風向とからなる角度の変化を発生させるものではないのです。

(2)風車を両持ちで支持できる

お気付きになりましたでしょうか。図1に示した既存の水平軸風車は、陸上や着床式では地面、浮体式では浮体設備にタワーの底部で固定されています。垂直軸風車は、同じく底部のみか風車部の周囲に架台を設けてその上部をワイヤなどで周囲に固定することが一般的です。片持ちか、ほぼ片持ちの固定となっています。

図2の水平横軸風車は風車の回転軸の両側を挟んで支持できるのです。設備の構造強度的に両持ちが安定しているのは明らかです。

(3)設備の重心を低くできる

水平軸風車はプロペラが回転する全面が受風面です。そのため、風車設備の最高点は少なくともプロペラの直径より大きくなります。

垂直軸風車の受風面積は風車高さと回転径で決定されます。受風面積を増大させようとすると、風車を縦に長くしたり、回転径を増やしたりする必要があります。風車部である上部の重心が大きくなります。

水平横軸風車は受風面積は風車長さと回転径で決定されます。受風面積を増大させようとする場合、風車の長さを増やすと重心の高さは変わりません。(2)に述べた通り、回転軸を両持ちにする場合は引き続き風車部を安定的に支持できます。

(4)風車の向きを制御する機構が不要

水平軸風車の中には、風向に合わせてナセルの向きを合わせるヨー制御をするタイプもあります。風向計や駆動装置、スリップリングなどが必要となります。

水平横軸風車を浮体式で実装するためには、海底や他の構造物に係留索で固定する方法があります。風見鶏の尾羽のようは機構を設けると、自然と風車の回転軸は風向きに正対する位置関係となります。

図3

(5)帆船への搭載にも相性がよい

帆船は側舷から風を受けて進みます。風車の回転軸と船の長手方向の軸を平行に設置することで帆船が風を受けて風下側に傾斜しても、風車は傾斜をものともせず回転することができます。

ただし風車が船体に固定されている場合、ひとつ問題があります。風車のブレードの形状は回転軸に対してCW(時計回り)/CCW(反時計回り)いずれかの方向性があります。一般的な帆船のように、右舷左舷どちらからも風を受ける場合は非対称性が生じます。

図4のように風向に対して左右に対象形状にした設備こそ最適と考えています。この図ではセイルは帆船の風上寄りの側に建てられています。風向の変化に対して常に帆船の角度を変え、常にセイル側から風を受け続けるようにすることで、風車を常に同じ向きに回転させることができます。

図4

(6)高低差による風速の違いを利用できる

垂直軸風車を真上から見るとき、ブレードは風で押される側と風に向かう側ができます。どちら側も同じ風速です。風で押される側はいいのですが、風に向かう側は抵抗となってしまいます。

水平横軸風車にすると状況が若干変わってきます。

風はある程度の高さ(地上1,000m程度?)までは、高度が高い方が低い方に対して風速が大きくなります。風で押される側を回転軸の上側に、風に向かう側を下側にすることで回転の効率向上を見込めます。

回転半径が小さいときはほぼ効果はないですけど。
いつか、回転径100mのブレードとかできたらいいですね。

図5

ブレードの形状によって、抗力型と揚力型があります。

(7)太陽光パネルとの併用がしやすい

風車の上に広いスペースが得やすいので、ひさし代わりに太陽光パネルの設置スペースになります。気象条件に応じて発電を補完できます。

水平軸風車はプロペラの上には載せられず、下では影になります。
垂直軸風車は、よく街頭で風車の南側にはり出す形で太陽光パネルが取り付けられているのを見かけます。風車が縦長なので横に出るしかないです。

図6

3.デモ動画

陸上でのデモですが、回転の様子です。
風速は2〜4m/s程度でした。

4.適用分野

いかがでせいたでしょうか?
電力系統へ接続するほどではないかもしれませんが、洋上や山あい遠方のダムなどでの独立電源として使えないでしょうか。
他には、
・環境モニタリング
・水産資源評価
・遠方監視
・研究調査
などの用途を考えています。

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